お天気用語辞典
気象現象

こちらには、メソスケールの気象現象に関する用語をまとめました。

おことわり

このページは、2010年11月25日以降、記事内容の更新がされておりません。
現在の情報とは異なる部分が存在する可能性がありますので、大変申し訳御座いませんが、その旨ご理解の上でご覧頂ければ幸いです。

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重要度 高: 予報士試験必出級の用語。

重要度 中: 予報士試験に出やすい用語。

重要度 低: 気象学常識レベルの用語。

《 50音順 》重要度 … ■:高■:中、□:低
ア行アイウォール---
カ行海陸風ガストフロント 降水セル降水バンド
サ行集中豪雨スーパーセル スコールラインスパイラルバンド
タ行台風ダウンバースト 竜巻-
ナ行熱帯低気圧- --
ハ行ベナール型対流- --
マ・ヤ・ラ・ワ行メソスケール山谷風 --
同義語トルネード → 竜巻-
大気の構造・気候 大気の熱力学
降水過程 大気における放射
大気の運動 気象現象
観測・予報・法律 五十音順全索引
《 ア行 》

アイウォール

台風の眼(台風中心部の雲が少ない円状域)の周りを囲む たくさんの積乱雲層状雲で形成される雲のバンドのこと。眼の壁雲とも言います。
アイウォールの高さは12〜16kmにも達し、ここが台風に伴う大雨を主に降らせます。
通常、このアイウォールの外側に数本のスパイラルバンドが見られます。

《 カ行 》

海陸風

海岸地方等では、日中には海から陸に向かって風が吹きます(海風)。
夜間には陸から海に向かって風が吹きます(陸風)。
また、朝と夕方にはそれぞれ風向が変わる無風状態の時があります(凪)。
これらの現象を海陸風と呼びます。

海陸風は山谷風と基本的に同じ原理のものです。
海と陸では、海の方が熱容量(熱を蓄えられる量)が大きい為、陸は海に比べて暖まりやすく冷えやすいと言えます。 日中は、太陽放射によって、陸の方が海より早く暖まって温度が高くなり、 夜間は、放射冷却によって陸の方が海よりも早く冷えて温度が低くなります。
これにより、日中は、陸地の空気が暖められて上昇し、それを補う為に海から空気が移動します。これを海風といいます。
夜間は、陸地の空気が冷やされて下降し、海に流れ出します。これを陸風といいます。
海風と陸風の強さは、風速3〜7m/s程度で若干海風の方が強い傾向があります。 また、海風が観測されるのは、海岸から20〜50km程度の内陸です。
海風と陸風ともに、通常の風に比べてあまり強くない為、風が強い日等はほとんど観測されません。

ガストフロント

突風が吹いていく先端を結んだ線のこと。突風前線とも言う。
積乱雲等により発生し、数10kmも進行することがあります。
ピークを過ぎた積乱雲はほとんど下降流(冷気外出流)だけになり、地面に沿って冷気が放射状に流れ出します。 その先端が元からあった周囲の空気と衝突する線がガストフロントになります。
よって、ミニ寒冷前線と言ってもいいでしょう。

降水セル

雷雲は外からは1個の大きな塊の様に見えるが、中を見ると数個の積乱雲が共存していることが多いです。
このような雷雲組織を構成している積乱雲のことを降水細胞または降水セルと言います。
降水セルは、成長期(発達期)・成熟期(最盛期)・減衰期(消滅期)という3段階を経て一生を終えるのが一般的で、 その寿命はだいたい30〜60分です。

降水バンド

線状のメソ対流系は活発な降水セルが線状に並んだものですが、 この内その線に直角の方向に対する移動速度の遅いものを降水バンドといいます。
逆に、移動速度の速いものをスコールラインといいます。
梅雨前線に対応する降水域帯は降水バンドの1つです。

《 サ行 》

集中豪雨

短時間に局地的な大量の降水(及び降雪)が発生すること。
気象学的な定義はありませんが、1時間に100m近い雨量が集中する現象と言っていいでしょう。
集中豪雨は、直接的には発達した積乱雲群によるものですが、 その発生には台風や低気圧、梅雨前線等が複合的に関与しています。
通常の積乱雲の寿命は長くて60分程度であり、1つの積乱雲が降らせることのできる雨は50〜80mm程度と言われています。 従って集中豪雨は、1つの積乱雲によるものではなく、いくつかの積乱雲が群れとなって起こす現象であることが分かります。 いくつもの積乱雲が次々と入れ替わりながら、狭い地域に集中的に雨を降らせていくことで、 数時間で数100mmもの雨を降らせる集中豪雨が起こると言う訳です。
集中豪雨になると、地面が大量の雨を受け止めきれず、河川の氾濫、土砂崩れ等の災害が起こる危険性が非常に高くなります。

スーパーセル

単一で上昇気流と下降気流をもった巨大な(10〜40km)積乱雲のこと。
通常の積乱雲の寿命は30〜60分程度ですが、スーパーセルは数時間にもなります。
風の鉛直シヤーが強い為、上昇気流は鉛直方向に対して傾いており、 水蒸気が凝結して潜熱を出し雲に浮力を与える場所と、 降水粒子が落下してきて雲を冷やす場所とが分離されています。 よって、準定常的な状態を保つことが出来る訳です。
スーパーセルは強い降水と共にしばしば大型のを降らせ、 竜巻ダウンバーストを発生させます。

スコールライン

線状のメソ対流系は活発な降水セルが線状に並んだものですが、 この内その線に直角の方向に対する移動速度の速いものをスコールラインといいます。
逆に、移動速度の遅いものを降水バンドといいます。
日本では南西諸島でスコールラインが現れることがあります。

スパイラルバンド

台風に伴うアイウォールの外側で 積雲が螺旋状に発達している区域のこと。
このバンドの雲は、アイウォールより一般的に背が低く、高さ数km程度の積雲からなっているものもありますが、 かなりの雨を降らせるものもあります。

《 タ行 》

台風

北緯8〜25度付近、東経100〜180度の間の北西太平洋域で発生する熱帯低気圧の内、 最大風速が17.2 m/s以上になったもののこと。
一般的に台風は海面水温が26〜27℃以上の海域で発生、発達、維持することができます。
ほぼ円形の渦巻きで、前線を伴うことができません。(暖気のみの為)
台風の右側では台風固有の風速に自身の移動速度が加わる為、 進行方向に向かって右側の方が風速が強く(危険半円)、左側は比較的弱く(可航半円)なっています。
台風自身の移動速度は自転車並(時速10〜15km)で、 高気圧の縁を沿う性質があり、偏西風に乗ると時速60km以上にもなります。
台風の中心部には、雲の少ない眼があり、それを取り囲んでたくさんの積乱雲と 層状性の雲からなる雲バンド(アイウォール)があります。
更に、そのアイウォールの外側に数本のスパイラルバンドがあります。
台風の規模は、大きさと強さによって表します。

台風の強さの分類
階級中心付近の最大風速
(なし)17.2m/s(34ノット)〜33m/s(64ノット)未満
強い33m/s(64ノット)〜44m/s(85ノット)未満
非常に強い44m/s(85ノット)〜54m/s(105ノット)未満
猛烈な54m/s(105ノット)〜
台風の大きさの分類
階級強風域の半径
(なし)500km未満
大型500km〜800km未満
超大型800km〜

※ 強風域:風速15m/s以上の領域

ちなみに、地域によって強い熱帯低気圧の呼称が違っていて、 南太平洋・東経180°以東の北太平洋・北大西洋で最大風速が33 m/s(64ノット)以上のものをハリケーンと言い、 北インド洋で最大風速が17 m/s以上のものをサイクロンと言います。

ダウンバースト

発達・成熟した積乱雲の雲底からは、雨と共に雲内部の上方から冷たい空気が降りてくることがあるが、 この下降流が地表面に沿って広がり地上に被害を及ぼしたり、離着陸中の航空機が墜落事故を起こすほど強いことがあります。
そうした下降流をダウンバーストと呼びます。
大気の不安定度が強い時に発生しやすいです。

竜巻(トルネード)

寒冷前線に伴って発生する巨大な積乱雲(スーパーセル)の底部から、 地上に向かって伸びる細長い空気の渦管のこと。
但し、スーパーセルがあれば必ず発生する訳ではなく、また竜巻が観測される場所は地球上でかなり限定されています(北米中西部等)。
その発生条件ははっきりとは解明されていません。 ただ、スーパーセルの様に、上昇気流と下降気流がともに激しく対流運動が起こっていることが一因と考えられています。

《 ナ行 》

熱帯低気圧

熱帯や亜熱帯の海洋上で発生する低気圧。
前線を伴わない(寒気を持たない)のが特徴で、等圧線はほぼ円形を描き、中心の気圧が極めて低い為、非常に強い風が吹きます。

北緯8〜25度付近、東経100〜180度の間の北西太平洋域で発生する熱帯低気圧の内、 最大風速が17.2 m/s以上になったものを台風と呼びます。
但し、世界的には熱帯低気圧の呼び名は様々で、分類基準もまちまちです。
例えば、南太平洋・北東太平洋・北大西洋で最大風速が33 m/s(64KT)以上のものをハリケーン、 北インド洋で最大風速が17 m/s以上のものをサイクロンといいます。

《 ハ行 》

ベナール型対流

熱を伝える形態の1つに対流があるが(他は、放射と伝導)、 その最も簡単な形の対流がベナール型の対流である。
下図のように、薄い流体層を下面全体にわたってゆっくりと一様に加熱します。
流体層の上面は常時温度が一定に保たれるようにしておきます。
下面の温度が次第に高くなるとともに、熱は流体中を上に運ばれて行きます。
下面と上面の温度差がある限度に達すると対流が起こり始めます。
ベナール型対流が関与する気象現象としては、夏の積雲、冬の筋状の雲等があります。

ベナール型対流

《 マ行 》

メソスケール

中規模の意。ちなみに大規模はマクロスケール、小規模はミクロスケールと言います。
気象現象では、数10〜数1,000kmの範囲を言います。
メソスケールを細分するとα、β、γがあり、αは数100〜数1,000km、 βは数10〜数100km、γは数〜数10kmの範囲とされています。
大雑把な天気も知りたいですが、やはり自分がいる所の天気がどうなるかが一番知りたい所です。 メソスケールで見ると、地域毎の天気予報が可能になる為、この様なニーズに答えることができます。

《 ヤ行 》

山谷風

山岳地方やその付近等では、日中には平地や谷間から山の斜面や山頂に向かって風が吹きます。(谷風)
夜間には山の斜面や山頂から平地や谷間に向かって風が吹きます。(山風)
これらの現象を山谷風と呼びます。

山谷風は海陸風と基本的に同じ原理のものです。
山の斜面や山頂では、日中は、高度が高い為に大気による太陽放射の減衰が少ない、 日照時間が長い等の理由から、温度が上がって上昇気流が発生し、それを補う為に平地や谷間から空気が移動します。
これを谷風といいます。
夜間は、その表面積の関係等から、地球放射によって大気の温度が平地や谷間よりも大きく下がります。
そして、冷たく重い空気が山の斜面や山頂から平地や谷間に向かって移動します。これを山風といいます。

大気の構造・気候 大気の熱力学
降水過程 大気における放射
大気の運動 気象現象
観測・予報・法律 五十音順全索引
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