お天気用語辞典
降水過程
こちらには、降水過程に関する用語をまとめました。
おことわり
このページは、2010年11月25日以降、記事内容の更新がされておりません。
現在の情報とは異なる部分が存在する可能性がありますので、大変申し訳御座いませんが、その旨ご理解の上でご覧頂ければ幸いです。
ア行 | 霰(あられ) | 暖かい雲・雨 | 雨粒 | 雲粒 |
---|---|---|---|---|
エアロゾル | - | - | - | |
カ行 | 過飽和 | 過冷却 | 凝結核 | 凝結過程 |
霧 | 巻雲 | 巻積雲 | 巻層雲 | |
高積雲 | 高層雲 | - | - | |
サ行 | 終端速度 | 積雲 | 積乱雲 | 層雲 |
層状雲 | 層積雲 | - | - | |
タ・ナ行 | 対流雲 | 冷たい雲・雨 | - | - |
ハ行 | 併合過程 | 雹(ひょう) | 氷晶 | 氷晶核 |
氷粒 | - | - | - | |
マ・ヤ・ラ・ワ行 | 霙(みぞれ) | 靄(もや) | 雪の結晶 | 乱層雲 |
同義語 | 拡散過程 → 凝結過程 | - |
霰(あられ)
暖かい雲・雨
一般に雲の中の温度がどこも0℃より高く、氷粒を含んでいないような雲を暖かい雲という。
そのような雲からでも雨はよく降ります。これを暖かい雨といって、熱帯地方でよく降ります。
しかも、雲が発生してから30分か1時間後には降り出します。
雨粒
所謂『あまつぶ』のことで、大きさは半径1〜7mm程度です。
雲粒同士の併合過程を経て雨粒に成長しますが、
雨粒の成長は無限ではなく半径7mm程度が限界と言われています。
それは、雨粒が大きくなる程空気の抵抗を受け易くなるからで、
そうなると大きさを維持することができなくなり、落下途中で分裂してしまいます。
ちなみに、落下する雨粒は、大きくなる程底面が平らな鏡餅の様な形になります。
雲粒
雲を形作る水滴のことで、大きさは半径1〜20μm(通常は10μm程度)です。
凝結核に水蒸気が凝結することで生成されます。
生成された雲粒は、雲の中で凝結過程や併合過程において大きく成長していきます。
半径1mm以上になると雨粒と呼ばれるようになります。
エアロゾル
過飽和
ある温度の空気塊が持てる水蒸気の量は決まっており、
その空気が水蒸気を最大限持っている状態を飽和していると言います(詳しくは飽和水蒸気圧・密度をご覧下さい)。
水蒸気を含む空気の中では、凝結して水滴になったり、
蒸発して水蒸気に戻ったりを繰り返すことで平衡状態を保っています。
飽和空気塊に更に水蒸気を送り込むと、水蒸気は凝結して水滴になろうとしますが、
その水滴が非常に小さいとすぐに蒸発してしまいます。
そうなると、実際にその空気塊が持っている水蒸気の量は、本来持てる水蒸気の量を上回ることになり、
その状態のことを過飽和と言います。
自然状態では、空気が飽和しても、すぐに雲粒ができることはありません。
こうした過飽和の空気は、凝結核の作用を受け、急激に凝結、雲粒ができます。
水蒸気の過飽和が生じるには、気温はそのままで空気中に水蒸気が補給される、
空気中の水蒸気はそのままで気温が下がる、の片方か両方の条件を満たす必要があります。
過冷却
一般に水の氷点(氷になる温度)は0℃ですが、水の温度をゆっくり下げていくと、
0℃を過ぎてもなかなか凍りません。
この様に、水が0℃(氷点)以下の温度でも液体でいる状態のことを過冷却と言います(水以外の液体でも同様)。
雲の中では、気温が0℃以下になっても、すぐに雲粒が氷晶に変化することはありません。
こうした過冷却の水滴は、氷晶核の作用を受け、急激に凍結、氷晶に変化します。
ちなみに、-4〜0℃ではほとんどが過冷却の水滴として存在しますが、逆に-40℃以下では過冷却の水滴は存在しません。
凝結核
雲粒の生成に必要な吸湿性をもつエアロゾルのこと。
水蒸気を含む空気が過飽和状態となって雲粒になる為には、エアロゾルの存在がほとんど不可欠です。
何故なら、微粒子を全く含まない清浄な大気中では、相対湿度が100%をある程度上回っても、
水滴(雲粒)ができることはほとんどないからです。
凝結核には、硫酸アンモニウム等の燃焼生成物の微粒子や、
海塩核と呼ばれる海水塩分の微水滴が乾燥した塩化ナトリウムの微粒子等があります。
凝結過程
雲粒が大きく成長する過程のこと。
大気上空で生成された雲粒の周りの飽和(過飽和)大気中の水蒸気が更に送り込まれて凝結し、
次第に大きな雲粒へと成長します。
と言っても、この過程での雲粒の成長は無限ではなく、雲粒が小さい内は急激に成長しますが、
大きくなるにつれ成長しにくくなります。
つまり、この過程だけでは、やがて雲粒の大きさは一様になってしまう傾向があり、
大きな雲粒はできにくくなる訳です。
更に雲粒が成長し、雨粒になるには併合過程を経なければなりません。
霧
地表付近に発生した雲のこと(層雲の一種)。
気象学では、直径数10μm以下の小さな水滴(氷晶)が大気中に浮かんでいることが原因となって、
地表面付近で水平方向の視程が1km未満になる現象のことを言う。
霧粒が光を散乱、反射、吸収する為視程が悪くなります。
霧粒が氷晶からなる霧を氷霧と言います。
また、視程が1km以上ある場合は靄(もや)と呼ばれています。
霧の中の相対湿度は、発達中では100%に近いが、解消中では小さくなっています。
霧が発生するのは湿った空気の温度が露点まで下がるか、空気が飽和するまで水蒸気が加えられたか、
あるいはこの両者が同時に起こったかです。
霧の発生原因別の分類は以下の様になっています。
名称 | 発生原因 |
---|---|
移流霧 | 湿った暖かい空気が冷たい地表面(海面)に移動して発生する霧。 |
混合霧 | 温度差がある2つの湿った空気の塊が混合する時に発生する霧。 |
上昇(滑昇)霧 | 山の斜面を吹き上げる空気が上昇によって冷やされて発生する霧。 |
蒸気霧 | 冷たい空気が暖かい水面上に移動して発生する霧。 |
前線霧 | 温暖前線の通過前に、冷たい空気が雨の蒸発による水蒸気の補給を受けて発生する霧。 前線の通過後に、雨で湿った地表付近で放射冷却によってできる霧。 前線に沿って発生する霧で、寒気と暖気の2つの空気が接する為に発生する。 |
放射霧 | 夜間等の放射冷却によって地表付近の気温が下がって発生する霧。 |
巻雲
大気上層(高度5〜13km)に発生する層状雲の1種。
ラテン語ではCirrus(シーラス)、記号はCi、筋雲とも呼ばれています。
温暖前線が接近してくる時、まず最初に見られる雲で、春や秋によく現れます。
巻積雲
大気上層(高度5〜13km)に発生する層状雲の1種。
ラテン語合成語ではCirrocumulus、記号はCc、うろこ雲、いわし雲等とも呼ばれています。
特に秋によく見られる雲です。
巻層雲
大気上層(高度5〜13km)に発生する層状雲の1種。
ラテン語合成語ではCirrostratus、記号はCs、上空の薄雲とも呼ばれています。
温暖前線が接近してくる時、巻雲の次に見られる雲で、春や秋によく現れます。
薄いベール状をしていて、この雲の中にある六角形の氷粒のプリズムを太陽光線が通過する際に屈折し、
太陽のかさ(太陽の周りに現れる虹状の輪っか)が現れることがあります。
原理は同じですが、一般的な半円の虹とは別物です。
低気圧接近の前兆としてよく知られています。
高積雲
大気中層(高度2〜7km)に発生する層状雲の1種。
ラテン語合成語ではAltocumulus、記号はAc、うろこ雲、ひつじ雲とも呼ばれています。
特に秋によく見られる雲です。
高層雲
大気中層(高度2〜7km)に発生する層状雲の1種。
ラテン語合成語ではAltostratus、記号はAs、おぼろ雲とも呼ばれています。
この雲に覆われても、太陽をおぼろげに見ることができます。
温暖前線が接近してくる時、巻層雲の次に見られる雲で、春や秋によく現れます。
この雲が現れた頃には、上空では既に雨が降っていることが多いです(途中で蒸発するので、地上ではまだ降っていない)。
終端速度
地球上の全ての物体は地球の引力を受けています。
空気中で静止していた物体を落下させると、引力によって絶えず加速されているので、
初めの内は落下速度は次第に増していきます。
しかし、速度が増すにつれて物体が受ける抵抗力(空気による摩擦力)も増していきます。
その為、ある速度に達したところで、その物体に働く重力と逆方向に働く抵抗力がつり合い、
以後落下速度は一定になります。この速度を終端速度といいます。
終端速度Vを求める式は以下の様になります。
V = m・g / R (g:重力加速度 = 9.8 m/s2、m:物体の質量)
R(抵抗力) = 6・π・r・η・v
(π:円周率 = 3.14、r:物体の半径、η:空気の粘度、v:物体の速度)
雨粒の場合、これが球形と仮定して、mは以下の様に求められます。
m = ( 4 / 3 )π・ρw・r3 (ρw:水の密度)
例えば、半径 r = 10μmの雨粒の終端速度は、約1.2cm/s です。
積雲
高度0.6〜6km以上に発生する対流雲の1種。
ラテン語ではCumulus、記号はCu、わた雲とも呼ばれています。
積雲は発生したばかりの積乱雲の卵の様なもので、
これがある程度塔状に発達すると雄大積雲と呼ばれ、
更に発達して地上で雨が降り出すと積乱雲と呼ばれるようになります。
特に夏によく見られる雲です。
積乱雲
大気下〜上層に発生する対流雲の1種。
ラテン語合成語ではCumulonimbus、記号はCb、入道雲とも呼ばれています。
大気不安定時、寒冷前線や
台風に伴って見られる雲で、通年、特に夏によく現れます。
この雲に覆われると、地上では強い雨が降り出し、雷、突風を伴うこともあり、激しい気象現象をもたらします。
気象予報上、この雲の存在、動向、盛衰は非常に重要なデータとなります。
関連用語:降水セル、集中豪雨、スーパーセル
層雲
層状雲
層積雲
大気下層(高度0〜2km)に発生する層状雲の1種。
ラテン語合成語ではStratocumulus、記号はSc、うね雲、むら雲等とも呼ばれています。
乱層雲の切れっ端の様なちょっと薄気味悪い雲です。
この雲が現れるときは、あまり大気の状態がいいとは言えないでしょう。
春、秋頃に見られます。
対流雲
冷たい雲・雨
一般に雲の中の温度が0℃より低く、氷粒を含むような雲を冷たい雲という。
そのような雲から降る雨を冷たい雨といいます。
と言っても、この雨は上空では雪であり、落下途中で気温が高くなると融けて雨になります。
融けなければ、そのまま雪として落下します。
日本付近で降る雨の8割は、冷たい雨であると言われています。
併合過程
凝結過程によって成長した雲粒が更に大きく成長し、
雨粒になる過程のこと。
凝結過程によって次第に成長した雲粒は、ある大きさに達すると重力による落下を始めます。
この時、雲粒の大きさによって落下の速度は異なる為、
速く落下する大きな雲粒はゆっくり落下する小さな雲粒に衝突し、それを併合し(取り込んで)更に成長していきます。
これにより、凝結過程での成長に限界を迎えた雲粒は、この併合過程により、雨粒へと成長していく訳です。
雹(ひょう)
直径5mm以上の氷粒や氷塊のこと。
全くの氷の塊で、海外では直径11cmの雹が降った記録もあります。
ちなみに、直径5mm以下の氷粒は、霰(あられ)と言います。
春から夏にかけて発生する、大きく発達した積乱雲(雷雲)から降ることがあります。
氷晶
氷晶核
氷晶の生成に必要なエアロゾルのこと。
雲が過冷却状態となって、雲粒が氷晶になる為には、
エアロゾルの存在がほとんど不可欠です(巻積雲のような特定の上層雲を除く)。
何故なら、微粒子を全く含まない清浄な大気中では、気温が0℃をある程度下回っても、
氷晶ができることはほとんどないからです。
細かく見ると、その働き方によって4種類の氷晶核があります。
昇華核 | 水蒸気が直接昇華して氷晶となる粒子。 |
---|---|
凍結核 | 比較的高い温度領域で水滴内に取り込まれ、 水滴を凍結させる働きをもつ非吸湿性粒子。 |
凝結凍結核 | 凝結核と凍結核の両方の性質をもつ粒子で、 まず水溶性の物質が水蒸気から水滴が生成される時には凝結核として働き、 次に不溶性の物質が凍結核として働き水滴を凍結させる。 |
接触凍結核 | 水滴に衝突して凍結させる非吸湿性粒子。 |
氷粒
氷晶が、
雲の中で水蒸気の昇華凝結や過冷却水滴の吸収凍結によって成長した氷の粒(氷粒子)の総称。
前者の場合は雪の結晶に、
後者の場合は霰(あられ)や雹(ひょう)に成長します。
これが落下し、気温が0℃以上になると融けて雨(雨粒)になります。
霙(みぞれ)
雪と雨が一緒に降っている天気のこと。
上空では雪ですが、地表付近の温度が高い為、一部が融けて雨になっている状態です。
初冬、晩冬頃によく見られます。
靄(もや)
霧よりも薄く、視程が1km以上ある場合を靄(もや)と言う。
本質的には霧と同じものです。
雪の結晶
氷晶が、雲の中で水蒸気の昇華凝結によって成長した氷粒のこと。
雪の結晶の形は様々ですが、皆さん御存知の通り、六角形がベースです。
その形は、温度や水蒸気の量によって変化します。
雪の結晶の形は、以下の様にだいたい8つに分類できます。
角柱 | 温度:-22℃以下、-10〜-4℃、水蒸気密度:0.05 g/m-3以下 |
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骸晶角柱 | 温度:-22℃以下、-10〜-4℃、水蒸気密度:0.05〜0.1 g/m-3 |
針・さや | 温度:-22℃以下、-10〜-4℃、水蒸気密度:0.1 g/m-3以上 |
角板 | 温度:-4〜0℃、-22〜-10℃、水蒸気密度:0.1〜0.15 g/m-3 |
骸晶角板 | 温度:-22〜-10℃、水蒸気密度:0.05〜0.1 g/m-3 |
厚角板 | 温度:-22〜-10℃、水蒸気密度:0.05 g/m-3以下 |
扇形角板 | 温度:-22〜-10℃、水蒸気密度:0.15 g/m-3以上 |
樹枝状角板 | 温度:-16〜-12℃、水蒸気密度:0.2 g/m-3以上 |