Home > みなみプロショップ > ボールメンテナンス法

みなみプロショップ
ボールメンテナンス法

ボールは、買ったらオシマイではありません。
ちゃんとケアをするかしないかで、寿命やパフォーマンスに大きな差が出てきます。
また、実際に投げてみて「ちょっと違うな…」と思っても、
加工をすることで、自分に合ったボールに近づけることもできます。
プロショップとありますが、注文は承っておりません(;^_^A

投球後のボール拭き

ボウリング場には、「ウェス」というボールを拭く為のタオルが常備してあります。

これは、投球後のボールに付いているオイルを拭き取る為のもので、手にオイルが付くのを防いだり、 ボールのフッキングの継続性を保つ、レーンコンディションの変化を最小限に抑えるなどの効果があります。

ハウスボールの場合は、ほとんど1番目の理由だけでいいと思われますが、 マイボールの場合は、上記3つの理由の他に「ボールがオイルを吸う量を最小限に抑える」という重要な理由があります。

「ボールがオイルを吸う」
嘘のような本当の話です。

特に、オイルに強くて(吸油性が高くて)曲がりの大きなハイパフォーマンスボールに、その現象が強く出ます。

ボールは、オイルを吸えば吸うほど性能が落ちていきます。
オイルはカバーストック(外皮)の表面から奥まで浸透してゆき、やがて飽和状態を迎えると、 手を当てただけでオイルが滲み出てくるようになります。

オイルを吸わせ放題で放置していたら、ボールの寿命は縮まるわ、表面がぬるぬるになるわ、 ほとんど曲がらず動きも悪くなるわで、全く良いことがありません。

オイルを抜く方法もありますが、これはボールの動きが変質(悪化)したり、 余計にボールの寿命が縮まったりするリスクがあるので、あまりやりたくはありません。

では、何をするのが一番いいのか?

それは、水際でオイルの吸着を最小限に抑えることです。

それは、毎投球後にしっかりオイルを拭き取ること。
そして、片付ける前にクリーナーを使ってしっかり汚れやオイルを拭き取ること。

これに尽きるのです。

当然、最小限に抑えるだけなので、結果的にオイルは溜まっていきますが、 ボールの性能をできる限り長く保つ努力をするのは、上級ボウラーの基本中の基本です。

この様なデイリーメンテナンスをしっかりやっているかどうかを見るだけでも、 そのボウラーのボウリングに対する姿勢やしっかりした考えを持っているかどうかがわかります。


前置きが長くなりましたが、基本的な「デイリーメンテナンス」の方法をご説明します。

投球後のボール拭きですが、
基本的には、センター据え置きのウェスは使わないで下さい。

洗濯したてならいいですが、あれは一般客も使っており、基本「汚い」と思っていいでしょう。
よって、お店のウェスで拭くのは、汚れをこすりつけているのと同じであると言えます。

しかも、お店のウェスは「普通のタオル」なので、オイルや汚れがなかなか取り切れません。
ベストは、100円ショップでも売っている「マイクロファイバータオル」を持参して使用することです。

その名の通り繊維が細かいので、ボール表面にある目に見えない凹凸に入り込んだオイルまで取ってくれます。
ゲーム中はクリーナーを使用しない(競技会中は禁止)ので、かなりおすすめです。
各ボールメーカーも、マイクロファイバータオルの使用を推奨しています。

もちろん、こまめに洗濯はして下さいね。
繰り返し使っていたら、お店のウェスを使っているのとあまり変わりませんので…。

プレー終了後は、専用クリーナーを使ってボール表面全体の汚れをしっかり落とします。
ハイパフォーマンスボールの場合は、まずリムーバー(表面にオイルや汚れを浮き上がらせる溶剤)を噴霧してから30秒ほど置き、 それを拭き取った上で、クリーナーで綺麗に拭き上げるようにするといいでしょう。

クリーナーやリムーバーにはいくつか種類があり、ボールの表面素材によっては向き不向きがある場合があります。
よく調べてから、ケチることなく(笑)選んで下さい。

参考: みなみプロショップ - ボウリンググッズ解説

▼ 総支配人推薦クリーニング用品3種

【エクセノヤマミズ】クリーンオール プロV ボールクリーナー【単品】

メーカー希望小売価格
1,100円 (税抜)

【エクセノヤマミズ】オイルリムーバー【単品】

メーカー希望小売価格
1,500円 (税抜)

【メール便可】【ABS】PRO-am マイクロファイバータオル【単品】

メーカー希望小売価格
700円 (税抜)

ボールの表面加工

ボールの表面加工(リサーフェイス)には、大きく分けてサンディングポリッシングの2種類があり、 これらをすることで、多少動きの質を変える(オイルに対しての反応を変える)ことができます。
プロショップで頼めば表面加工してくれます。(道具を揃えて自分ですることも可能です。)

基本、箱出し(工場出荷時の表面仕上げ)がそのボールの適正な状態なので、 使い込んで表面状態が変化したのを元に戻したい場合か、どうしても自分の球質に合わないので変えてみる場合のみでよいかと思います。

もちろん、詳しい方は好きなようにいじってもらっていいですが、 いずれにせよ、詳しい人に相談したり勉強した上で、慎重に決めた方がいいでしょう。

サンディング

サンディングパッドで磨くことにより、艶を消します。
サンディングはボール表面に凸凹を付けるので、レーンとの接地面積が狭くなり、逆にオイルの吸収面積が広くなります。
吸収面積が広くなることで、オイルゾーンでも動きやすくなって、走りにくくなります。
接地面積が狭くなることで、ドライゾーンにおけるレーンとの摩擦力が小さくなり、アーク状(緩いカーブ状の)曲がりが出やすくなります。

サンディングパッドには番手があり、数字が小さいほど粗く、大きいほど細かく仕上がります。
粗目のものは、傷消し専用と思って下さい。(これで仕上げると規格外になるので注意!)
基本的には、中目くらいの番手から始めて、次は数字が2倍の番手に変えながら仕上げていきます。
小さい番手ほど軽く短時間で、大きい番手ほどしっかり磨き上げて下さい。

一応サンディングの注意事項として、同じ所ばかりを磨いているとボールの形が歪んでしまったり、 あまりにやり過ぎるとボールが小さくなってしまって、投げた後ボールが返って来なくなったりするなど、 規格外となってしまう可能性があります。
(但し、前者については、ローリングトラック上(レーンとの接地面)でなければ練習としては使えますし、 後者についても、50ゲームに1回する程度でも、まずそうなることはないので心配はいりません。)

#1500マット(かなり曇らせる)の加工例
ヘビーコンディション向けのハイパフォーマンスボールに多い加工です。

  • #600(または#800)スコッチメッシュで、全面を軽くサンディングします。
  • #1500スコッチメッシュで、全面をサンディングします。

#4000アブラロン(鈍い光沢を出す)の加工例
オイリーコンディション向けのハイパフォーマンスボールに多い加工です。

  • #500アブラロンパッドで、全面を軽くサンディングします。
  • #1000アブラロンパッドで、全面をやや軽めにサンディングします。(省略可)
  • #2000アブラロンパッドで、全面をサンディングします。(省略可)
  • #4000アブラロンパッドで、全面をしっかりサンディングします。

サンディングが必要なケース

  • メンテナンスとして、オイルを吸った表層を削り取る。
  • ローリングトラック上に多くの傷が付いてしまった。
  • 元々マット仕上げなのに、表面が均されて光沢が出てきた。
  • スキッド(走り)がありすぎて、どうしてもアジャストできない。
  • 動き出しを早くして、アーク状に曲がるようにしたい。

ポリッシング

液状の研磨剤(コンパウンド)で磨き上げることにより、艶を出します。
ポリッシュはボール表面の凸凹を均すので、レーンとの接地面積が広くなり、逆にオイルの吸収面積が狭くなります。
吸収面積が狭くなることで、オイルゾーンでは動きにくくなって、走りやすくなります。
接地面積が広くなることで、ドライゾーンにおけるレーンとの摩擦力が大きくなり、キレのある(鋭角の)曲がりが出やすくなります。

コンパウンドには番手があり、数字が大きいほど目が細かく、より艶を出すことができます。
ちょっと艶を出したいだけなら小さい番手で、今よりボールを奥まで走らせたい場合は大きい番手を使います。
ただ、ポリッシュをかけた場合、傷が目立つようになることがあります。

#1500ポリッシュ(やや控えめの艶出し)の加工例
ミディアムコンディションにも対応したハイパフォーマンスボールに多い加工です。

  • #500アブラロンパッド(または中目のスコッチメッシュ)で、全面を軽くサンディングします。
  • #1000アブラロンパッド(または#1500スコッチメッシュ)で、全面をサンディングします。
  • 中目のコンパウンドを適量布に採り、全面を軽くポリッシングします。

#4000ポリッシュ(ピカピカに光らせる)の加工例
ライトコンディション向けや、いわゆる「走ってキレる」ボールに多い加工です。

  • #500アブラロンパッド(またはスコッチメッシュ)で、全面を軽くサンディングします。
  • #1000アブラロンパッドで、全面をやや軽めにサンディングします。
  • #2000アブラロンパッドで、全面をサンディングします。
  • #4000アブラロンパッドで、全面をしっかりサンディングします。
  • 細目のコンパウンドを適量布に採り、全面をしっかりポリッシングします。

ポリッシングが必要なケース

  • 元々ポリッシュ仕上げだが、光沢がなくなってきた。
  • 動き出しが早すぎて、どうしてもアジャストできない。
  • オイルゾーンでは走らせて、奥で鋭角に曲がるようにしたい。

▼ パーティクル系ボールのサンディングに最適!

【メール便可】【MIRKA】アブラロンパッド 150mm

メーカー希望小売価格
800円 (税抜)

ボウラーズショップ プリメーロ ボウラーズクラフト楽天市場店

オイル抜き

ボールがオイルを吸っていくことをお話ししましたが、しっかりボール拭きをしていても、 どうしても、オイルはボールの中に溜まっていきます。

それが表面付近だけなら、リサーフェイスにより、オイルを吸った層だけを剥ぎ取ればいいのですが、 深層まで浸透している、或いは飽和状態(手を当てるとオイルが滲み出てくる状態)になってしまっている場合は、熱処理によるオイル抜きを考える必要が出てきます。

ただ、熱処理によるオイル抜きは、場合によってはボールの寿命を縮めたり、パフォーマンスの低下・変質を招いてしまう「諸刃の剣」です。
よって、これについては積極派と慎重派に分かれます。

ちなみに、私は慎重派です。
もうこれをするしかボールを生き返らせる方法がない場合のみ、と考えます。

熱処理によるオイル抜きが失敗する要因の最たるものは、温度の上げ過ぎにあります。

ボールを温めることで、ボールの表面素材とオイルの結合が外れて、オイルが表面に滲み出てくるのですが、 温度を上げ過ぎると、オイルだけではなく「可塑材」という複数のボール表面素材を結合させている添加剤までもが分解されて、一緒に出てきてしまいます。

可塑材は、リアクティブウレタン系のボールに含まれていますが、これが出てくるということは、 カバーストックの劣化はもちろん、パフォーマンスの低下・変質が起こってしまいます。

熱処理によるオイル抜きのには、大きく分けて2つの方法があります。

一つは、センターにあるヒータータイプのオイル抜き機を使用する方法ですが、

これは、あまりお勧めできません!

この方法では温度が上がり過ぎてしまうリスクが高い為、上記の通り、ボールの寿命を縮めてしまう可能性があります。

もう一つは、自宅などでお風呂位のお湯に浸ける方法です。
オイル抜きをするなら、これを正しい方法で行うのがお勧めです。


まずは、ボール全体をしっかり浸けることができる位の大きさのバケツ等の容器を用意し、これに40〜50℃のお湯を入れます。

お湯の温度は、絶対に60℃以上にはしないで下さい!
可塑材の流出を最小限に抑えるには40℃台が最適です。

ここからは、直接ボールをお湯に浸ける方法と、ボールにオイルリムーバーを噴霧してからビニール袋に入れて浸ける方法がありますが、 これはお好きな方を選んで頂いて結構です。
この際、インサートテープを外すのを忘れずに。
(外すのが嫌な方は、穴の中にお湯が入らない様、しっかり栓をしておきましょう。)

時間は、オイルの吸い具合にもよりますが、だいたい20〜30分位が目安です。
温度を見ながら、途中でお湯を継ぎ足してお湯の温度を維持して下さい。
温度が低くなる(40度以下になる)と、オイルが出てきませんし、せっかく出たオイルもまた戻ってしまいます。

冬場など、温度の維持が困難な場合は、熱めのお風呂にボールと一緒に入るのも一手です。 (ただし、ボールはしっかり袋に密封して入りましょう。)

終わったら、ボールを取り出し、直ぐに表面に滲み出たオイルをクリーナーで拭き取って下さい。 (オイルの染み出しが多そうなら、途中で拭き取る作業を入れると、なお効果的です。)
上手くいけば、指でこすると、キュッキュッと吸いつくような感触が蘇っているはずです。


この方法でも、やっても50ゲームに1回までにしておきましょう。
できれば、ボールの一生の内に2〜3回程度に抑えるのがベストだと考えます。

寿命の判断

ボールは消耗品につき、当然『寿命』があります。
それは、ボールの材質、使用頻度、メンテナンス、保管方法、人それぞれの感じ方などで変化します。

ボールの材質

ボールの表面素材(カバーストック)については、マイボールの選び方のページをご参照下さい。
その内、リアクティブウレタン系素材は、オイルを吸着する性質がある為、寿命が短くなります。

その訳は前述の通り、オイルを吸うと素材が劣化しやすくなるからです。
吸油性が高ければ高いほど、ボールの元々の寿命が短い訳ですが、 その様なボールは、「オイルに強い」「よく曲がる」と謳われている「ハイパフォーマンスボール」であると思っていいでしょう。

その他現役素材の、ポリエステルやピュアウレタンについては、オイルをほとんど吸わないので、 材質によって寿命が左右されることはほとんどありません。

使用頻度

これは当然、消化ゲーム数が多くなればなるほど、寿命が削られていきます。
その訳は、オイルを吸うのはもちろんですが、素材の経年劣化や、接地面が均されていくことによるパフォーマンスの低下などの理由があります。

ボールは箱出しから数十ゲーム投げるまでが、最大でパフォーマンスを発揮できる状態です。
数十ゲーム経過すると、ボールの動きが落ち着いてきて「見かけ安定期」に入ります。

一般アマチュアボウラーは、この「見かけ安定期」で運用することが多いですが、 プロボウラーの中には、このボールの動きが落ち着いた時点で「寿命」とする方もいます。
「見かけ」としたのは、実際はこの間も徐々にパフォーマンスが落ちているからです。

そして、200〜300ゲーム以上になると見かけ安定期が終了し、パフォーマンスの低下が緩やかになります。
上級アマチュアボウラーなら、この時点で「寿命」とする方も多いでしょう。

更に500ゲーム以上ともなると、リサーフェイスやオイル抜きを施しても、なかなか復活しなくなってきます。
会心の投球をしてもタップしたりすると、もはやストライク用ボールの態をなしていないと言えます。
この時点で、ほとんどの方が「寿命」と判断されるでしょう。

以上が、一般的なリアクティブウレタンボールの一生となります。
もちろん、素材やメンテナンス次第で、かなり前後することもあります。

メンテナンス

前項までに記した通り、しっかりメンテナンス(ボール拭き、リサーフェイス、オイル抜き)をすることにより、 ボールの寿命が短くなるのを抑えることができます。

少なくとも、「ボール拭き」さえしっかりやっておけば問題ありません。
これすらサボると、元々の寿命から半減すると言っても過言じゃありません。

また、リサーフェイス、オイル抜きの失敗によっても、大きく寿命が短くなる場合があります。
これらは上級者向けの技術なので、無理にする必要はありません。

正しい知識を持ち合わせた上で、正しい判断のもと、信頼あるドリラーに施工してもらうなり、自分で行うなりする必要があるでしょう。

保管方法

ボールは「冷暗所」で保管するのが基本です。
大敵なのは「暑さ」です。

夏に車のトランクに入れっぱなしの方が多いと思いますが、これが危険なのです。
特に屋外だと車の中は60℃にも達する訳で、この状態、何かに似ているとは思いませんか?

そう、「オイル抜き」と一緒です。
しかも長時間、下手したら60℃以上になることもあり得ますので、当然、オイル抜き失敗状態になりかねない訳です。

バッグの中にお漏らし状態ならまだマシですが、真っ二つに割れたりしたら目も当てられません。
そんな症状が出なかったとしても、ボールにとっては寒暖差がダメージとなりますので、寿命が短くなってしまいます。

人それぞれの感じ方

使用頻度の所で既出の通りですが、自分が「もうこのボールでは勝負できない」「タップばっかりで面白くない」と感じた時点で、 もう寿命が来たと判断して良いのではないかと思います。

ボールは高い買い物ですから、コスト面も織り込んだ上で、総合的に考えるとよいでしょう。

マイシューズ解説 ボウリンググッズ
マイボールの選び方 メジャーリング
ドリルレイアウト ボールメンテナンス
指の症状別対処法 指穴アジャスト法
このページのトップへ