みなみプロショップ
ドリルレイアウトについて
ドリルに関することは、ほとんどの方がドリラーに任せっきりだと思います。
良いドリラーと出会えたらいいですが、そうでなければ堪りませんよね?
よって、上級者はもちろん、中級者の方も、ある程度の知識は持ち合わせておきましょう。
どうしたらいいかが分かるようになれば、あなたも立派なマニアックボウラーです。
プロショップとありますが、注文は承っておりません(;^_^A
ボールレイアウト
ボールの動きを決める重要な要素として、ボール自身の性能の他に、 ボールをドリルする為の設計図(レイアウト)があります。
ボールの動き(曲がり、パフォーマンス)を決定する要素には、
- カバーストック(材質・表面仕上げ) … 全体の70%弱
- コア(形状・比重など) … 全体の約15%
- 動的バランス … 全体の約10%
- マスバイアス … 全体の5%弱
- バランスホール … 全体の5%弱
- 静的バランス … 全体の1%未満
があります。
実は、レイアウトで決まるものは下の4つだけであり、全体の20%弱でしかありません。
とは言え、されど20%。
とても疎かにできるものでもありません。
レイアウトは、そのボールの性能をどれだけ引き出すか、ユーザーの希望に合わせるかを調整する大切なものなのです。
通常、私たちがこのレイアウトを見ることはありませんし、完全にドリラーに任せてしまうと思います。
もちろんそれでもいいのですが、私たちもある程度分かっていたら、ボウリングに対する造詣が深まり、
もっと楽しく、もっとマニアになれる(笑)と思いませんか?
ドリラーは、このレイアウトを決めるにあたって、あなたに幾つかの質問をすると思います。
主に聞かれる内容は、以下の5点です。
- 主に使用するレーンコンディション
- 球速と回転のどちらが強いか
- ボールの軌道のイメージ(走って切れる、ゆったり曲がる等)
- 投球スタイル(ベーシックかローダウンか)
- PAPの位置
少なくとも、上の4点は答えられるようにしておいて下さい。
一番下のPAPは、「ポジティブ アクシス ポイント」と言って、薬指側にある回転軸とボール表面との交点(地球儀で見た場合の北極)のことを言います。
初めての方はワケ分からないと思いますが、次の項を見れば少しはイメージできるでしょう。
最悪、現在メインで使っているボールを持ち込んで見せれば、ドリラーが判断してくれます。
実は、このPAPが分からないと、レイアウトができません。
いや、できなくはありませんが、自分に合う保証がない、
いわゆる「いい加減なドリル」になってしまうと言っても過言ではないほど重要なものです。
ここからは、ちょっとマニアックな内容になりますが、まずはPAPの割り出し方や代表的なレイアウトの仕方、 その他用語や理論等をご紹介していきましょう。
動的バランスコントロール
PAPの割り出し方
ドリルレイアウトには必要不可欠であるPAPを割り出します。
まず最初に、実際に投げてみて、オイルが付着しているライン(トラック)に注目します。
トラックは大抵の場合、2点(ナローポイント)で重なり合いながら狭い放射状に広がっています。(これをフレア現象と言います。)
その中で指穴に最も近く、オイルが一番濃く付着したトラック(ファーストトラック)に沿って円周になる線を引きます。
次に、その線が地面と水平になる様、コマの様にボールを回しながら、ボールの一番上の頂点に印を付けます。
これがPAPになります。(下左図参照)
PAPを割り出したら、これを記録しておきましょう。
数学的になりますが、座標軸を思い浮かべて頂いて、センターラインをy軸(縦軸)、グリップセンター(GC)を交点に垂直な線をx軸(横軸)とすると、 x軸に沿って右に何インチ【L1】、そこからy軸と平行に上に上がって何インチ【L2】の点にPAPがある、という風に記録します。(下右図参照)
メジャー(ホールサイズ、スパン、ピッチ等)や投げ方(回転軸)が変わらない限り、 PAPの位置はボールが変わっても同じです。
ただ、PAPはできるだけ正確な位置を割り出す必要があります。(何故かは次の項で分かります)
投球動作の微妙な変化等で必ず変わるので、何度か測りなおして最大公約数で決定した方がいいでしょう。
2球目以降のボールを購入する場合は、今現在使っているボールで測り直して下さい。
以前に測ったデータをそのまま使うと誤差が出ます。
【補足】PAPの数値から、ローリングタイプを推察する方法
【L1】の長さが長い程、アクシスチルトが小さくなります。
6-3/4インチから【L1】を引いた値を、後出のCA表を参考に角度を算出すると、それがアクシスチルトの角度になります。
アクシスチルトは、最大の90°で回転軸が直立し、コマの様な回転となります。(0°なら、車のタイヤの様な縦回転。)
一般的には、チルト角5°前後がフルローラー、10〜15°がハイローラー、15〜20°がセミローラー、20〜30°がローローラー、30°以上がスピナーとされています。
【L2】は、一般的(セミローラー)であれば、だいたい1インチを超える程度でしょう。
ハイローラーの様に、縦回転が強くなるほど1インチ未満になる傾向があり、逆にフルローラーではかなり長くなってきます。
ピンとコアアクシスアングル(CA)について
レイアウト上最も重要なポイントです。
製造過程でコア(ウエイトブロック)が傾いて固定されると、CGとピンの位置がずれることになります。
当然、バランスの面でも離れるほど崩れることになり、
この距離が2インチ以上のものをピンアウト、未満のものをピンインといいます。
(一般的に「ピンイン」だと、リアクションを早めに起こす、手前から転がりやすいと言われていますが、
レイアウトの選択肢が限定されやすい欠点もあります。)
このピンをPAPからどれだけ離して配置するかが、ボールの動きを決定する上で、一番重要な要素となります。
これは、アクシス(回転軸)に対して、コアの角度を変えるということになります。
ボールの円周は、規格でおよそ27インチと決められていますので、
アクシスに対するコアの角度「コアアクシスアングル」(CA)は、
PAPからピンまでの距離で表わすことが出来ます。
CAの範囲は、基本的に0〜90°(0〜6-3/4インチ)となります。
この内、45°(3-3/8インチ)の所が、最もダイナミック(動的)バランスがアンバランスな状態で、
トラックフレアの幅が最大になります。(ボールとレーンとの摩擦が最大になり、より曲がりやすくなる。)
動的バランスとは、ボールが回転することによって生じるバランス効果のことです。
動的バランスはCAの大きさによって変化し、CA=0°やCA=90°のときに最小値 0、
CA=45°のときに最大値(ボールの種類による)となる、いわゆるサイン(Sin)カーブを描いています。
CA | 0° | 5° | 10° | 15° | 20° | 25° | 30° | 35° | 40° | 45° |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
距離(インチ) | 0 | 3/8 | 3/4 | 1-1/8 | 1-1/2 | 1-7/8 | 2-1/4 | 2-5/8 | 3 | 3-3/8 |
動的バランス(%) | 0 | 17.4 | 34.2 | 50 | 64.3 | 76.6 | 86.6 | 94 | 98.5 | 100 |
CA | 50° | 55° | 60° | 65° | 70° | 75° | 80° | 85° | 90° | |
距離(インチ) | 3-3/4 | 4-1/8 | 4-1/2 | 4-7/8 | 5-1/4 | 5-5/8 | 6 | 6-3/8 | 6-3/4 | |
動的バランス(%) | 98.5 | 94 | 86.6 | 76.6 | 64.3 | 50 | 34.2 | 17.4 | 0 |
尚、CA=0°とCA=90°が全く同じ動きをするかと言えば、実はそうではありません。
CA=0〜45°は低慣性となる為、手前から転がりやすくなり、CA=45〜90°は高慣性となる為、奥まで走りやすくなります。
一般的には高慣性側にすることが多いですが、走りやすい球質の場合は、低慣性側に配置することも検討しましょう。
また、アマチュアレベルのドリルでは、CA5°単位の様な細かい設定をすることはありません。
数値を大きく変化させれば、それなりに動きの差が見えますが、小さな変化ではほとんど分からないのが実状だからです。
よって通常は、ピンとPAPの距離を1/2〜1インチ単位で設定します。
ボール/ボウラーのタイプ別 推奨CA一覧表
CA | ΔRG | |||
---|---|---|---|---|
レーンコンディション | 低(0.030以下) | 中(0.045前後) | 高(0.060以上) | |
球速:速い 回転数:多い | ヘビー・ミディアム | 45〜70° | 65〜75° | 70〜80° |
ライト・ドライ | 75〜80° | 80° | 80〜84° | |
球速:遅い 回転数:多い | ヘビー・ミディアム | 55〜65° | 65〜75° | 75〜80° |
ライト・ドライ | 75° | 80° | 80〜84° | |
球速:速い 回転数:少ない | ヘビー・ミディアム | 45° | 45〜60° | 60〜70° |
ライト・ドライ | 70° | 75° | 80° | |
球速:遅い 回転数:少ない | ヘビー・ミディアム | 45〜60° | 60〜70° | 70〜80° |
ライト・ドライ | 75° | 80° | 80〜84° |
※ ヘビー・ミディアムは、メインボールとしてボールのパフォーマンスを十分に引き出したい場合の推奨角度。
※ ライト・ドライは、ドライレーン用ボールとして動きを抑えたい場合の推奨角度。
ドライ用ボールは、メインボールの50〜60%程度に動的バランス(フレアポテンシャル)を下げたボールのこと。
これでも曲がるなら、表面をポリッシュして対応して下さい。
※ 回転軸角度は関係ありません。あなたの好みに合わせて下さい。
対称コア(マスバイアスなし)ボールの場合
- トラックフレア大: CA距離 3〜4インチ
- トラックフレア中: CA距離 2〜3インチ(ブレイクポイント早め)
CA距離 4〜5インチ(ブレイクポイント遅め) - トラックフレア小: CA距離 3/4〜2インチ(ブレイクポイント早め)
CA距離 5〜6-1/4インチ(ブレイクポイント遅め)
非対称コア(マスバイアスあり)ボールの場合
- トラックフレア大: CA距離 2-3/4〜6-1/4インチ
6-1/4インチに近い程、縦回転が強くなる(アクシスローテーション小)
2-3/4インチに近い程、横回転が強くなる(アクシスローテーション大) - トラックフレア中: CA距離 1-1/2〜2-3/4インチ
- トラックフレア小: CA距離 3/4〜1-1/2インチ
マスバイアスの効果
ボールが回転することでフレアが発生し、PAPから回転軸が移動していきます。
その最終移動先は、コアの最もRGが高い軸地点であり、それをPSA(プリファード スピン アクシス)と言います。
このPSAが、いわゆるマスバイアスポイント(MB)として、ボールの表面にマークされています。
一般的には、ピンとCG付近を通る直線上で、ピンから6-3/4インチ(90°)の位置に存在します。
近年、そのマスバイアスを強調する為、コアにウエイトブロックが追加されている(または削られている)ボールが主流になってきました。
この様なボールは、コアの形状が非対称であることから、非対称コアボールと呼ばれています。
非対称コアボールでは、CAが同じであっても、PSAのポジション(PAPからの距離が0〜90°までの間)によって、
バックエンドリアクションがある程度変化するとされています。
つまり、PAPとPSAの距離を変えることで、バックエンドリアクションの調整が可能となります。
PAP-PSA距離は、短いほど回転が速くなる為、動き始めが強くなる傾向が出て、結果緩やかに曲がるラインをとります。
逆に、長いほど回転が遅くなる為、動き始めはより先へ行き、奥で切れる感じが見られます。
また、マスバイアス効果を排除するなら、PAPから90°離すことで、この影響をゼロにすることができます。
PAP-PSA距離(インチ) | 3/4〜2-1/4 | 2-1/4〜4-1/2 | 4-1/2〜6-3/4 |
---|---|---|---|
マスバイアス角 | 10〜30° | 30〜60° | 60〜90° |
レーンコンディション | ヘビー | ミディアム | ライト・ドライ |
球速 | 速い | 普通 | 遅い |
回転数 | 少ない | 普通 | 多い |
アクシスローテーション アクシスチルト | 大 | 中 | 小 |
尚、PAP-PSA距離ですが、他に「ピンとPAPを結んだ直線」と「ピンとPSAを結んだ直線」の交点に当たる角度(マスバイアス角、又はドリリング角)で表す方法もあります。
どちらを使うかは、どの様なレイアウト法を採用するかによります。
これで、CAではリリースからレーン中間までのフッキングへの移行速度(回転の起き上がりの速さ)を、 PAP-PSA距離ではレーン中間からピンヒットまでのローリングへの移行速度(回転の速さ)を調整できるようになりました。
静的バランスコントロール
スタティック(静的)バランスには、トップウエイト、サイドウエイト、フィンガー/サムウエイトの3つがあります。
トップウエイトは、穴が開いている側(トップ)とその裏側(ボトム)の重さの差のことです。
値が大きい程、ボールの走りや曲がりのキレが鋭くなります。
トップには指穴を開ける為、もともと重くなっています。(空間ができる分重さが減る)
サイドウエイトは、センターラインを境にした、薬指側(ポジティブ)と中指側(ネガティブ)の重さの差のことです。
ポジティブサイドウエイトの値が大きい程、ボールの曲がりがより強くなり、ピンに当たった時逸れなくなります。
一般的なレイアウトにおいては、ポジティブサイドウエイトが大きくなる様に設定されています。
フィンガー/サムウエイトは、グリップセンターから上側(中指・薬指側:フロント)と下側(親指側:バック)の重さの差のことです。
フィンガーウエイトの値が大きい程、ボールの動き出し(曲がり)が遅くなり、更にピンに対して食い込みが強くなります。
ドリル後はフィンガー側がほんの若干重くなる上、
一般的なレイアウトにおいても、フィンガーウエイトが大きくなる様に設定されています。
但し、ボールは、規定により6つの側面でバランスを保つようドリルされなければなりません。
10ポンド以上のボールの場合、
- トップウエイトは、3オンス(85.05g)以内
- サイドウエイトは、1オンス(28.35g)以内
- フィンガー/サムウエイトは、1オンス(28.35g)以内
また、10ポンド未満のボールは、いずれも3/4オンス(21.262g)以内に収めなければなりません。
このドリル後の静的バランスの値は、ボールの動きを決定する要素の1つであるとは言えますが、 これらはほんの微々たる差ゆえに、その効果はほぼ無視できるレベルです。
CGについて
重心(Center of Gravity)の意。
ドリルの世界では通常、重心そのものではなく、それをボールの表面に投影した点を指します。(よって、俗にCGはドリル前のものと考えます。)
大抵、ボールの表面に、ドットやグリップマーク、二重丸等の印が付いています。
これをグリップセンターから離す程、トップウエイトが小さく、逆にサイドウエイト、フィンガー/サムウエイトが大きくなります。
但し、これはドリル前の静的バランスの話であって、ドリル後に関してはCGの位置はボールの動きにほとんど影響しません。 (ドリル後の静的バランスは全く一緒で、CGの位置が全く違うボールを投げてみても、ほとんど違いがないという結果もあります。)
レイアウトの際のCGの位置は、バランスの値を規定内に収めるのに参考になるということ以外には、ほぼ意味を持たないと考えるべきでしょう。
バランスホールの効果
静的バランスの項でも説明した通り、ドリル後のボールの3つのバランスが規定内であることが必要となります。
レイアウトによっては、この規定外になってしまうことがあり、その場合4つ目の穴をあけることで、
バランスの規定をクリアする方法があります。
その時開ける穴をバランスホール(エキストラホール)といいます。
バランスホールは「マイナスの働きをするウェイトブロック」として静的にも動的にも作用しますので、ボールの動きにも若干の影響を及ぼします。
静的な効果とはウエイトバランスが変わってくることで、動的な効果とはフレアポテンシャルの大きさが変わることです。
バランスホールが必要になるのには主に、
- 3バランスがオーバーする場合
- ハイローラードリルの際、フレアがフィンガーホールにかかるのを避けたい場合
- コアを削ることで、マイナスのマスバイアス効果を狙う場合
- フレアポテンシャルの変化(動的な効果)を狙う場合
の4通りです。
静的バランスを調整するだけの場合は、動的な効果が無視できるPAP上にドリルします。
動的な効果を狙う場合は、PAPから数インチ離れた場所にドリルします。
動的バランス調整
CAの調節だけでフレアポテンシャルはゼロ(最小)から最大まで自由に設定できますが、 バランスホールを開ける場所によっても、フレアの大きさを微調整することができます。
これはCAの範囲内での調整ということではなく、CA45°の最大フレアから更に+αでフレアを大きくすることができます。
動的バランス調整で開けるバランスホールは、大きさが1インチ程度、深さは3インチ程度で効果が表れるとされています。
開ける場所は、だいたいPAPを中心とした半径3-3/8インチ(45°)未満の範囲内になります。
そして、どのエリアに開けるかによって、フレアの大きさやフレアトラック位置が変化します。(下図参照)
各楕円は、PAPからの距離(角度)を表します。(設定は15°単位でOK) ミッドライン(中央の横線)から上に配置するとフレアが小さくなり、下に配置するとフレアが大きくなります。 赤エリア:フレア減少 緑エリア:フレア減少、トラック位置を下げる 青エリア:フレア増大 黄エリア:フレア増大、トラック位置を上げる |
PSAドリルレイアウト法
現在のボールに合うレイアウト法の1つとして「PSAレイアウト法」があります。
これは、ボールメーカー「STORM社」が提唱しているレイアウト法です。
非対称コアボール用のレイアウト法ではありますが、そうでない対称コアボールに対しても適用することができます。
ここでは、PSAドリルレイアウト法によるレイアウトの手順を簡単に御紹介します。
詳細を知りたい方は、以下のリンク先を御参照下さい。
予め、「PAPの位置」を計測し、「CA(距離)」(1/2インチ間隔でOK)を決めておいて下さい。
他のレイアウト法においても、この2つは必須項目です。
まずは、PSAドリルレイアウト法の要となる、3つの距離を決定します。 (1)Pin-PAP距離(CA):フレアの大きさを決定 (2)PAP-PSA距離:PAPからの回転軸の移行速度を決定 短いと、より縦回転のスムーズな曲がりを見せる。 (3)ピンバッファー距離:フッキングからローリングへの移行速度を決定 短いと、より大きな入射角とバックエンドリアクションを見せる。 |
PinとPSAを中心とした3つの弧を描きます。 (1)と(3)の弧はPinを中心に、(2)の弧はPSAを中心にして描きます。 (左図では、4インチ×4インチ×2インチにしています。) 尚、(1)と(2)は互いに交わるように描いて下さい。 |
次に、VAL(バーティカル アクシス ライン)を引きます。 (1)と(2)の交点がPAPであり、また(3)はPinとVALの最短距離を表している為、 PAPから(3)に接する線を引くと、それがVALとなります。 |
PAPを計測した時と逆の手順で、GC(グリップセンター)を決定します。 センターラインも引けたら、後はメジャー通りにドリルするだけです。 3バランスが規定外になる場合は、規定内に収まる様、PAP近辺にバランスホールを開けて下さい。 (左図の場合は、PAPとPinの中間辺りとか。) |
レイアウト例
ボールの販促動画で「4"×4"×3"」などを見たことはないでしょうか?
そう、これがPSAドリルレイアウト法のデータを表していたのです。
例に出した「4"×4"×3"」の3つの数字は、前述のPin-PAP距離(CA)×PAP-PSA距離×ピンバッファ―距離を表しています。
3つの数字を決めるのは難しいので、素人目にも解りやすいように、いくつかのレイアウト例が公示されています。
以下のレイアウト例を基に、自身のレイアウトをどうするか、考えてみるといいでしょう。
※ ネーミングには、私が勝手に付けたものもあるのでご注意下さい。( *´艸`* )
【4"×4"×1"】ストロング&フリップ レーン前半はスムースに通過、ミッドレーンでは強く転がり、バックエンドでは力強いリアクションを見せる。 複数のパターンに有効。 |
【4"×4"×2"】ストロング&アーク フレアが大きく、曲がりが大きい。鋭い入射角が得られる。 複数のパターンに有効。 |
【4"×4"×3"】ストロング&コントロール 手前からアーク状のリアクションが得られ、曲がりが大きい。 ストローカーやトゥイーナーに有効 |
【5"×3"×2"】スタンダード&フリップ スムースな走りと、鋭い入射角が得られる。 多くのパターンに有効。 |
【5"×3"×3"】スタンダード&アーク 継続性の高い、力強い動きが得られる。 PBAツアーで人気のあるレイアウトの一つ。 |
【5"×3"×4"】スタンダード&コントロール(フォア・ザ・スピナー) 良く走り、ミッドレーン後半から転がる、コントロール性の高いレイアウト。 オイル量の少ない、又はウェット&ドライなコンディションに有効。 スピナーにも有効。 |
【2"×5"×1"】スタビリティ&フリップ 【2"×5"×2"】スタビリティ&コントロール フレア、入射角ともに小さく、安定的でコントロール性が高い。 バックエンドが切れるウェット&ドライなコンディションに有効。 ハイレブボウラーにも有効。 |
【6"×5"×3"】フォア・ザ・クランカー レーン前半は安定して通過、中間的なフレアが得られる。 かなり深いインサイドからの投球に有効。 |
デュアルアングルレイアウト法
現在のボールに合うレイアウト法の1つとして「デュアルアングルレイアウト法」があります。
これは、今は無きボールメーカー「MoRich社」が公開していたレイアウト法です。
理論的にはPSAドリルレイアウト法と同じですが、
PSAが距離と弧を使ってレイアウトするのに対し、こちらは角度と直線でレイアウトします。
PSAの方は簡単で分かりやすいですが、こちらの方はテクニカルでとっつきにくい感じです。
これも、非対称コアボール用のレイアウト法ですが、そうでない対称コアボールに対しても適用することができます。
ここでは、デュアルアングルレイアウト法によるレイアウトの手順を簡単に御紹介します。
詳細を知りたい方は、以下のリンク先を御参照下さい。
予め、「PAPの位置」を計測し、「CA(距離)」(1/2インチ間隔でOK)を決めておいて下さい。
他のレイアウト法においても、この2つは必須項目です。
まずは、PinとPSA(マスバイアスピン)とを結ぶ直線を引きます。 PSAがなければ、PinとCGとを結ぶ直線を引きます。 これら3点は、必ずボール表面に刻印してあります。 ちなみに、マスバイアスボールのCGは、左図の様に左にずれているものが多いです。 |
次に、「ドリリングアングル」を決めて、Pin-PAP線を引きます。 ドリリングアングルは、10〜90°の間(20°間隔)で決定します。 数字が小さいほど回転が早く、大きいほど遅くなります。 使用者の回転数や、使用するレーンコンディション等を勘案して決めて下さい。 (左図は、中間の50°にしています。) |
Pin-PAP線上において、Pinから予め決めておいた「CA」の長さだけ離れた所に点を付けます。 この点がPAPになります。 (左図は、3-1/2インチくらいにしています。) |
次に、「VALとのアングル」を決めて、VALを引きます。 VALとのアングルは、20〜70°の間(25°間隔)で決定します。 数字が小さいほど回転の起き上がりが早く(曲がりが鋭く)、大きいほど遅く(曲がりが緩やかに)なります。 使用するレーンコンディション等を勘案して決めて下さい。 (左図は、中間の45°にしています。) |
PAPを計測した時と逆の手順で、GC(グリップセンター)を決定します。 センターラインも引けたら、後はメジャー通りにドリルするだけです。 3バランスが規定外になる場合は、規定内に収まる様、PAP近辺にバランスホールを開けて下さい。 (左図の場合は、PAP下の直角交点上とか。) |
「ドリルアングル」と「VALとのアングル」の塩梅
中間の角度で設定しておけば無難ではありますが、個性の強いボウラーだと合わせるのが難しくなるかもしれません。
やはり、それぞれのボウラータイプに合わせて、設定を変えるべきでしょう。
ドリルアングルとVALとのアングルの合計角度は、ボールのスキッド(滑り)からフック〜ロールアウトの時間を左右します。
合計角度が小さいほど、ボールの並進運動から回転運動への変化が起きやすく、その結果ボールのリアクションが速くなります。
合計角度は、ボールのスキッドからフックロールまでの変化を可能としますが、ブレイクポイントでの形を左右することは出来ません。
従って、リアクションの形を変える為には、合計角度ではなく、ドリリングアングルとVALアングルの比率を考慮することが必要です。
2つの合計角度が小さい程、ボールの回転や移り変わりが速くなる。(よく転がる) 2つの合計角度が大きい程、ボールの回転や移り変わりが遅くなる。(転がりにくくなる) |
スピード重視のボウラーには、合計角度を小さくする。 回転重視のボウラーには、合計角度を大きくする。 回転とスピードがマッチしている場合は、中間くらいがオススメ。 |
アクシスチルトが大きい場合は、合計角度を小さくする。 アクシスチルトが小さい場合は、合計角度を大きくする。 |
オイリーなレーンコンディションには、合計角度が小さい方がリアクションが良くなる。 ショートやオイル量が少ないレーンには、合計角度が大きい方がリアクションが良くなる。 |
VALとのアングルよりドリルアングルの方が大きい場合は、動きがシャープになる為、ブレイクポイントでの動きが強くなる。 VALとのアングルよりドリルアングルの方が小さい場合は、ロールが速く起き、ミッドレーンでのリアクションが強調される為、 全体的なリアクションが強くなる一方、バックエンドでの動きは緩やかになる。 |
微調整とプラグ
微調整
サンドペーパーや三角ナイフ、グラインダー等でできるもの。
時間もあまりかからず、サービスしてくれる場合もあります。
べべリング | 穴の角がシャープな場合、これをなだらかにする。 |
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穴を広げる | +1/64〜1/32程度なら可能。 それ以上はスパンに影響するのでオススメできない。 |
穴を狭める | インサートテープかテーピングテープを貼る。 フィンガーグリップなら、外穴とグリップの間に詰め物をする。 |
穴を扁平にする | 関節が大きい場合、両サイドを削ってフィッティングを良くする。 |
ピッチ変更 | 削るかインサートテープを貼ることで、若干の調整は可能。 |
フィンガーグリップ 取り替え | グリップの指穴サイズを変えるだけなら可能。 |
プラグ&再ドリル
スパンやホールが大きく変わってしまい、微調整では不可能な場合等に行います。
プラグとは、穴を埋めなおすことで、樹脂を流し込んで固めるため、早くても1〜2日かかります。
その後、プラグ表面を削って元通りにし、研磨した後、ようやく再ドリルとなります。
ドリラーの都合等を考えて、1週間は掛かると思っておいた方がいいでしょう。
(料金:プラグ・ドリルとも1穴\1,000程度)
スパン変更 | 初めてのマイボールはスパンが短くなりがち。 慣れたら伸びるケースが多いようです。 |
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ホールサイズ変更 | サムのリリース感覚を改善するケースが多いようです。 ピッチ変更もセットで行います。 |
ピッチ変更 | 余程の障害がない限り、ピッチだけを変えることはないでしょう。 |
フィンガーグリップ 取り付け | 料金:2穴で\1,000〜1,500。 グリップの外径に合わせて、両フィンガーホールを開け直します。 通常の穴からグリップ装着に変更する場合、プラグが必要となります。 |
サムソリッド 取り付け | 料金:\1,000〜1,500。 ソリッドの外径に合わせて、サムホールを開け直します。 スパンやピッチがほぼ変わらないなら、プラグは不要です。 |
レイアウト変更 | CA等を変更し、ボールの動きを変えたい場合に行います。 全ての穴が開け直しとなります。 |