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気象予報士試験の傾向と対策
学科試験 予報業務に関する一般知識

ようこそいらっしゃいました!
こちらには、学科試験『予報業務に関する一般知識』の傾向と対策をまとめました。
気象予報士試験の勉強にお役立て下さい。

おことわり

このページは、2010年11月25日以降、記事内容の更新がされておりません。
現在の情報とは異なる部分が存在する可能性がありますので、大変申し訳御座いませんが、その旨ご理解の上でご覧頂ければ幸いです。

概要

学科試験 予報業務に関する一般知識は、原則として5つの選択肢から1つを選択する多岐選択式です。(マークシート形式)
出題範囲は以下の通りです。

予報業務に関する一般知識(15問、60分)
イ、大気の構造
(1) 太陽系の概要及び惑星としての地球
  太陽、惑星の大気、地球の大気及び海洋
(2) 地球大気の鉛直構造
  対流圏、成層圏、熱圏及び外気圏、オゾン層と紫外線の吸収、電離層と電波の伝播
ロ、大気の熱力学
  理想気体の状態方程式、静水圧平衡、熱力学の第一法則、乾燥断熱減率と温位、相変化、
  大気中の水分、湿潤断熱減率、大気の鉛直安定度
ハ、降水過程
  水滴の生成、エアロゾルと凝結核、雲粒の成長、雨粒の成長、氷晶の生成、氷粒子の成長、
  雲、層雲と積雲内の降水過程、霧
ニ、大気における放射
  太陽放射、吸収・透過・反射及び散乱、温室効果、放射平衡と大気温度の高度分布、
  地球大気の熱収支
ホ、大気の力学
  力学法則、コリオリ力、地衡風、温度風、摩擦効果、大気境界層
ヘ、気象現象
(1) 大規模な大気の運動
  地球を巡る流れ、偏西風帯の波動と温帯低気圧、傾圧不安定波、寒冷前線と温暖前線
(2) 中・小規模の大気の運動
  ベルナール型対流、雷雲と対流セル、巨大雷雨と竜巻、中規模対流系と梅雨期の大雨、
  温帯低気圧に伴う雨、海陸風に伴う対流雲、熱帯の雲クラスターとスコールライン、
  台風の構造と発達過程
(3) 成層圏と中間圏内の大規模運動
  成層圏・中間圏内の構造、成層圏の突然昇温と準2年周期の変動
ト、気候の変動
  気候変動の歴史、太陽の活動度の影響、火山噴火の影響、海洋の影響とエルニーニョ、
  炭酸ガスの増加と大気温暖化、気候変動とカオス
チ、気象業務法その他の気象業務に関する法規
(1) 予報業務許可事業と気象予報士
  予報業務の許可、気象予報士の責務等
(2) 警報及び注意報
  警報及び注意報の実際、注意すべき事項
(3) 気象業務法における義務、禁止事項
  義務、禁止事項と罰則規定
(4) 災害対策の基本的枠組み
  地域防災計画の考え方、避難の指示
(5) 水防法、消防法等と防災情報
  洪水予報と水防警報等

以上8つのジャンルから15問が出題されます。試験時間は60分間です。
単純に計算して1問につき4分なので、時間的にはちょうどいい位かと思います。

難易度はそんなに高くはありません。
まんべんなく、しっかり勉強していれば、合格できると思います。

出題傾向

学科試験 予報業務に関する一般知識では、概要で示した出題範囲に沿って、基本的な問題が幅広く出題されます。
原則として、5つの選択肢の中から「正しいもの」または「誤ったもの」1つを選択する形式の問題です。

選択形式だからといって、勘で正解できるものではありません。
必要な知識をあやふやではなくしっかり理解しておくことが大切です。

よく出題される問題の形式は以下の通りです。

  • 5つの選択肢それぞれが独立した文章である問題(15問中7〜8問)
  • 1つの文章の中で5箇所を下線で指定される問題(15問中2〜3問)
  • 独立した文章または下線で指定した箇所の組合せから正しいものを選択する(15問中1〜2問)
  • 計算問題[大気の熱力学大気の力学(15問中2〜3問)
  • 図表から読み取る問題(15問中1〜2問)

基本的に概要で示した8つのジャンルからまんべんなく出題されますが、唯一、 気象業務法その他の気象業務に関する法規だけは、毎回15問中約4問が出題されています。

要するに、これを正解しておけば、残りの11問中7問で合格することができるわけです。
対策として、このジャンルを確実に抑えておくことで、合格により近づくことができると言えるでしょう。

対策

予報業務に関する一般知識では、気象予報の常識として必要な最低限の知識は別として、 それぞれの分野の事項の暗記が必要な問題は出されていません。

例えば、渦度や発散等気象学上の概念について言えば、式の導出と言った数学上の形式的な知識ではなく、 数値予報の成果の利用に必要な知識を問うものが出題されています。

過去の試験問題を見ると、幅広い分野から出題されている為、既に出題された分野が今後も出題されると考えていいでしょう。

しかし、同じ分野の問題でも過去の問題では同じ表現ではほとんど出題されていません。

問の中で「正しいもの」または「誤ったもの」1つを選択する形式の場合、正解(誤り)を除く残りの選択肢で記述された内容は、重要なことが多いです。
これらは今後表現を変えて問題に採用される可能性が大きいので、過去の問題を数多くこなすことが大切です。

計算問題図表から読み取る問題は、特に知識の暗記だけでは正解が得られません。

しかし、基礎的な事項や定義を確実に理解していれば、大概は解ける程度の問題が出されているので、 過去の問題を数多くこなし、計算問題に用いられた事項を理解することや、図表の見方に習熟することが大切です。

また、気象業務法その他の気象業務に関する法規については、予報業務を行う際に、 私たちの常識に照らして考えれば大概は理解できる規定となっており、条文を暗記する必要はありません。

法規に関する問題は、毎回同じような設問になっており、過去の問題を解くことでおおよその知識をつかむことができます。

何度も言いますが、法規に関する問題だけは、毎回15問中約4問が出題されています。
これを正解しておけば、残りの問題の正解率が63.6%ですみます。(全体では73.3%)
試験対策として、このジャンルを確実に、確実に抑えておきましょう。

参考書

学科試験 予報業務に関する一般知識は、最低限の基本的な知識はもちろん暗記しなければいけませんが、 ただ暗記するだけではダメで、その内容を理解しておかなければいけません。

気象予報に必要な知識が問われますので、確実に理解しておきましょう。
そうすれば、後の実技試験にもつながっていきます。

一般気象学 第2版
小倉 義光 著
(財)東京大学出版会
本体:2,800円+税
学科試験 予報業務に関する一般知識のバイブル的な本です。
出題範囲のほとんどを網羅しており、その内容も充実しています。 これをマスターできたら、ほぼ合格は間違いないでしょう。
ただ欠点は、法律が載っていないことと、初心者向けでないこと(文系の方にはキツイかも)と、 試験で1、2問出題される応用問題(難易度:高)には対応できないことです。
改訂版 最新天気予報の技術
天気予報技術研究会 編
(株)東京堂出版
本体:2,800円+税
学科一般、専門から、実技試験まで全てをコンスタントに網羅している本です。
掲載量はそう多くありませんが、コンパクトにまとめられているので、基礎の確認には使えます。
また、上記の「一般気象学 第2版」には載っていない法律も掲載されています。
気象予報士試験精選問題集
気象予報士試験研究会 編著
(株)成山堂書店
本体:2,800円+税
タイトルそのままの過去問厳選集。
学科・実技共に収録問題数は多く、問題数をこなすにはもってこいな本です。
ただ、解答についての説明は少なめなので、試験直前の仕上げに用いるのがいいでしょう。

理系の方は、上記3冊があれば充分ですが、文系の方にはちょっときついかも知れません。

学科一般向けの参考書は結構多く出版されており、もちろん初心者向けの本もあります。
まず、初心者向けの本からスタートすることをオススメします。

独学でも充分合格できますが、どうしても独学じゃムリ!という方には、 お金はかかりますが、通信講座やスクールを利用するという方法もあります。

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